Sunday, December 25, 2011

ガラージ・ア・トロアの現在

秋ツアー完了記念(苦笑)


ガラージ・ア・トロア インタビュー



Garage a Troisのスタントン・ムーアは過去に数々のドラム専門誌を飾る名ドラマーで、ニューオリンズ出身のバンドGalacticでのファンキーなプレイで最も名前が知られている。GalacticGarage a Trois でのドラムプレイの違いを彼はこう語る。「どちらもグルーブがベースにあるバンドだけど、 Garage a Trois の方が実験的。どちらも自分の中の音楽性の違う面だよ。」では Garage a Trois の、ステージが爆発するような瞬間には彼の音楽性のどの面が表れているのだろうか? 「あの音は、、、4人が集まってみんなそれぞれプレイして、それでああいう風な音になるんだよね。」彼ほどのミュージシャンでも、あの音のエネルギーを言葉に置き換えることは難しいようだ。


スタントンとともに Garage a Trois のオリジナル・メンバーであるサックスのスケーリックはあるインタビューでこう語った。「僕らはマスメディアを利用することはいつも不得意だった。ファイン・アートでも音楽でも何でもいいけど、いわゆる一般的に成功してる人たちって、自分たちの作品をちゃんと説明できるんだよね。僕たちはそれをうまく出来た試しがなくて、だからすごい成功もしてない。でも多分それは良いことなんだと思う。音楽に集中できるし、やりたいこと何でも好き勝手に出来るから。それが重要でしょ、MTVのリクエスト番組とか、ブリトニー・スピアーズとかそういう、本質より上っ面、みたいなのじゃなくて。」

シアトル郊外で育ったスケーリックは音楽好きの両親の影響でサックスを始め、音楽を演奏する楽しみをすぐに覚えた。そしてスケーリックの父親はいつも彼をジャズ・コンサートやフェスティバルに連れて行った。「70年代と80年代にツアーしてた有名バンドはほとんど見たね。小さいバンドも。それから幸運なことに近所の幼なじみがジミ・ヘンドリックスとかツェッペリン、ドアーズのカセットを全部持ってたんだ。ラッキーだったよ。中学高校ではオーケストラで演奏したし、色々なジャンルの影響を受けたのは良かったと思う。」スケーリックはその後も自分のスタイルを追求し続け、ピンク・フロイドのジョン・ウォーターズのツアーに参加した際にはかのウォーターズをして、「『Money』のサックス・リフを完璧にこなした唯一の奏者」と言わしめた。

Garage a Trois のその他のメンバー、ヴィブラフォンとパーカッションのマイク・ディロンと、最も新しいメンバーであるキーボードのマルコ・ベネヴェントもGarage a Trois以外に多くのプロジェクトに関わっており、4人が集まる時間を作るのは至難の業だ。最新アルバム「Always Be Happy, But Stay Evil」は、それぞれが活動の合間に用意した作曲のアイデアを持ち寄り、今年の1月にニューオリンズで録音された。マルコ・ベネヴェントはその体験を振り返る。「録音とオーバーダブを4日間で終えたよ。素晴らしいエンジニアのランデル・ダンと一緒にね。ゴージャスなスタジオなんだ。スティービー・ワンダーの『The secret life of plants』やカンザスの『Dust in the wind』が録音されたところなんだよ。反響室もあって、ランドルとスケーリックと一緒にそこで色々実験したのがアルバムのインタールード曲に使われているよ。」こだわりの名プレイヤーばかりが集まるこのバンドの、スタジオでの作業についてスタントン・ムーアはこう語る。「色んな音で溢れて、にぎやかに素早く進んだよ。みんな慣れた作業だからコンディションは最高なんだ。初めから全力で止まらず、持ってきたものを並べていくだけ。ひとつ終えてはすぐ次って具合に。たった3日で全部片付けられたのも、普段からライブで同じ事をやってるからだね。」

Garage a Trois にとって5枚目のアルバムとなるアルバム「Always Be Happy, But Stay Evil 」について、過去4枚のアルバムに参加しているヴィブラフォンとパーカッション担当のマイク・ディロンはこう言う。「チャーリー(・ハンター)と3枚ほど、素晴らしいアルバムを作って、それからマルコが参加した。チャーリーがいたときGarage a Troisはクールな、インスト・ファンクのバンドだったけど、今は70年代っぽい変てこロック・インストのエンニオ・モリコーネみたいな、、、エンジニアのランドル・ダンに言わせると70年代のサントラ風。」ミキサーなど使われた機材も70年代のものだという。「ぜひ良いステレオで音量上げて聴いて欲しい。録音したのが老舗の古いスタジオで、壁から70年代の空気が伝わってきた。最高だったよ。」

アルバムのカバーアートは、スケーリックの娘ココが描いたものだ。「彼女は小さな天才。あの絵を描いてから言ったんだ、『Always Be Happy, But Stay Evil (いつでもハッピーで、だけど邪悪でいなさい)』って。いやもう完璧でしょ、あらゆるレベルで。タイトルをどうしようか困ってて、時間もなかった。それで、『ココが描いた絵をカバーにしたらどう?』ってことになった」とマイクは振り返り、「スケーリックはココに児童労働の最低賃金を払ったよ。アートワークを安く上げるのに最高の方法でしょ。最近は組合もうるさいし不景気だから、しゃれたアーティストを雇うかわりに身内でなんとかまかなったよ」とおどける。

これだけの個性あふれる実力派プレイヤーが揃った Garage a Trois で、メンバー同士が衝突することはないのだろうか? マルコはこう答える。「今のところないね。音楽ってのは僕たちが、友達とシェアするためのものだから。生きるために、成長するために、他の人とプレイするんだ。」それについてマイクはこう言う。「僕らは独裁者みたいに、他のメンバーに命令するために演奏するんじゃない。音楽を通じて、むしろその人らしさを引き出したいんだ。」そしてマルコが続ける。「スタジオで組み立てた曲をもって今度はツアーに出るとまたすごく楽しい。ライブではお客さんの反応があって、それにこちらも影響を受けるから。」

Garage a Troisのライブは、アルバムよりさらにアップビートで熱く展開することで知られる。「あらかじめ組み立てられた曲を演奏しようとするときに、曲の構造によっては即興の入る余地が見つかることもある。ライブで何かを起こしたいなら、その場にいるみんなとコミュニケーションするんだ。 観客にプレイしちゃダメなんだ。観客とプレイするんだ。スタジオでは曲に仕え、ライブでは観客に仕える」とスケーリックは語る 。「昔から言うように、『部屋ごとプレイする』んだ。良いアドバイスだよね。」

マルコ加入直後のツアーでは見られなかった、お揃いのジャージとTシャツを着るステージ演出も最近では復活した。音楽以外の要素についてスケーリックはこう言う。「全ては音楽のためだ。ワンパターンに陥らないことが大事なんだ。芝居がかった演出は場を刺激できる。お客が寝てたら起こさなきゃ! 空気を生き生きと、関係を新鮮に保ってないと。観客とバンドの関係、それが最重要事項なんだ。」

Garage a Troisの音楽は、各プレイヤーの魂から世界に向けてまっすぐに湧き出てくるものだ。スケーリックはかつてこう語った。「俺は現実にコミットしている。俺はジャンキーじゃない。色々試すのは良いと思うけど、世界はあまりにも多くの美と、愛と人間からのインスピレーションに満ちあふれている。人生には現実の中でやらなくちゃいけないことが山ほどある。醜く美しい全てがたっぷりと。だから間違いなく俺は、やることなすこと全てに、それを映し出して行きたいんだ。」

Garage a trois :http://www.garageatrois.net/

written by 山平宙音 on 2011/8/18 based on the articles including;

http://www.jambands.com/features/2011/05/06/marco-benevento-music-is-for-sharing

http://www.jambands.com/features/2011/05/13/garage-a-trois-ever-happy-always-evil

http://www.staythirstymedia.com/201107-059/html/201107-mike-dillon-skerik.html

http://www.nola.com/nolavie/index.ssf/2011/05/an_interview_with_jazz_fest_la.html

http://www.honesttune.com/content/view/3237/49

http://www.citypaper.net/blogs/criticalmass/QA-Garage-A-Trois-saxophonist-Skerik.html

http://www.jambase.com/Articles/1615/SKERIK-%7C-SERVING-THE-MUSIC

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