Tuesday, March 30, 2010

マンゴー

唐突に始まります、商品レビューシリーズ第一弾。

"Freeze Dried Mango" (Trader Joe's)

48グラムで2.69ドル。190kcal。

さっきTrader Joe'sで見かけたので買ってみました、フリーズドライ・マンゴー。

確かにマンゴーの味なんだけど、水分ゼロなので歯でバリバリ噛んで細かい破片が口の中に広がり、至る所で水分を吸いつくすことシャムワオ!のごとし。その合間にチラリと南国の香りが。そして激甘い。そりゃ果物から水分を抜いたらほとんど糖だよ。(パッケージの栄養表見たら、総量48グラム中39グラムが糖。)その唾液で戻した糖は奥歯のくぼみに隙間なく流れ込み、2個目を食べると奥歯のくぼみにまんべんなく粉マンゴーをぐいぐい押し込む感じになります。歯にくっつくのが嫌なので、噛まないで舐めていたらそのうち溶けるんじゃないか、と飴のように扱ってみたけど一向にとけません。表面だけがどろどろの固まりが舌の上にねっとり居座るばかり。結局、がりがり噛まなきゃいけません。マンゴー果実のあの、我を忘れるようなエロティックさ、非の打ちどころのない美女と目があってしまったようなノックアウト感はなく。というわけで、そのまま食べずに砕いてアイスクリームにふりかけるとか、工夫した方が良さそう。

さて去年の夏に、唐突にマンゴーの美味しさに目覚めてしまいしばらく毎日食べていた私ですが、まだ取れたての完熟マンゴーを産地で食べるという贅沢をしたことがありません。日本ではよく、メキシコ産のアップルマンゴー、フィリピン産のペリカンマンゴー、台湾産、沖縄産、それから完熟近くまで待って収穫する宮崎産、あたりがよく売ってると思います。私のごく限られた範囲での調査ですが(港区西麻布を中心に)。wikipediaによるとマンゴーは、実質的に有機栽培のものは日本に輸入できないらしいです。いま住んでいるアメリカの法律はよく知らないですが、有機栽培マンゴーは見かけてない気がします。(自信がないですが。)いつか、インドのデーヴガルに行って、有機栽培のアルフォンソ・マンゴーの木から完熟の実をもぎとって溢れる果汁も気にせずかぶりつくことを想像しながら、今日は眠りにつきたいと思います。

そういえば普通のドライフルーツのマンゴーは食べたことがないので、今度みかけたら買ってみよう。


あ、、、気づいたらこれも食べ物の話題。だけど人の役に立ちそうな話題じゃないのでとりあえずこっちのブログに載せておきます。使い分けって難しいな。

Saturday, March 27, 2010

ジェイミー・オリバーの食育作戦



最初にこちらに書いたのですが、食べ物系の話題は別にまとめようかと思いまして、新しく「Sorafayのアメリカで食べるブログ」というのを作りました。(芸の無い名前なのでそのうち変更するかもしれません。)で、「ジェイミー・オリバーの食育作戦」の記事は本文をそっちに移したので、リンクを張っておきます。
http://foodusa.wordpress.com/2010/03/29/jamieolive/

アメリカの食と健康問題について思うことを、このブログの最初に書いたので良かったら読んでみて下さい。

「はじめに "Food for thoughts"」

Thursday, March 18, 2010

アカデミー作品賞"Hurt locker"を見た


最近まで、戦場が舞台とも知らなかった。アカデミー賞の授賞式を見るまで、監督の元旦那がアバターのジェームス・キャメロンとも知らなかった。アカデミー賞の最近の動向など全く追ってないので、どの辺が評価されたのかも知らない。原案がどこからやって来たのかも知らない。なのでその辺を想像してみることもせず、ただぼんやりと私の感想を書いてみようかなと思う。そもそも"hurt locker"の意味も分からない。*

これから見る予定の人は、この先は読まない方が良いんじゃないかな、と思います。

主人公ジェームスの戦争中毒を描いている、としか読み取れなかった。だとしたら、あまりにナイーブじゃないだろうか? ナイーブは英語だと、世間知らずとか、うぶ過ぎること。戦争=命の危険を伴う争いというものが、社会制度で補い切れない人間の欲望=生理を満足させるというのは皆なんとなく知ってるんじゃないかと思う。昔の文化人類学の有名な人が、そんなことを言っていたよね確か。**あんまり最近映画を見てない私ですが、しょーじき、「今さら?」って感じはした。

台詞は少なめで淡々とした映像が多いので、観客が戦場の現場にいる疑似体験をできる臨場感溢れる映像、を目指したのかな。確かに緊張感はすごくあった。場面によって画面の色合いや質感が変わるとこも、演出の基本的なスキルの高さが感じられて心地よい。でも例えば戦場での人間の心理を描いた、、、と考えると例えば「フルメタル・ジャケット」が思い出される。それと比べたらまぁマイルドな緊張感。そしてジェームスに自分を重ね合わせて感じ入るほどには彼に関する説明が多くない。それ以前にどうしてもそれぞれのカットが美しいと感じられない。ベタな絵だなぁ、って思うばかり。

最後の方になってくると、だいたい言いたい事が分かってきた気がした。結局最初に引用されてた"war is drug"ってこと? すげー小さいこと言ってない? だからどうしろと? でも、確かに丁寧にそれを表現している。舞台は戦場で激しい感じなんだけど、映画全体としてはなんか女性っぽいな、って。つまらんことを回りくどく、いや違う細かいことを丁寧に、言う姿勢が。

でも、ここで私が忘れているのは、戦争は今も現実に起こっていて、今住んでいる国の政府は戦争にたくさん人を送っているということだよね。今、カート・ヴォネガットのエッセイを読んでいるんだけど、この人は第二次世界大戦中にヨーロッパで一晩に13万人くらい死者が出た空襲を体験している。この人がそれを描くとき、ユーモアもたっぷりで物語として面白く読めるように書くんだけど、それはあくまで終わったことだからだよね。

でもそう、社会へのインパクトとかを考え始めると、アカデミー協会が何を考えてこれを選んだのか、何とでも受賞理由を説明できるアバターを押さえてこれに作品賞をあげたのか、考えざるを得なくなる気がする。私だって映画を単に好き嫌いで語っていいのなら、簡単に言える。好みに合わなかった、と。でも他の芸術形態と違って、幸か不幸かそれ以上の力が持てるのが映画だ。政治の手段にもなりうる。そのために芸術的快楽に関して禁欲的になることもあろう。でもやっぱり、好みじゃないな。映画には、はっと息を飲む映画的な瞬間を期待しちゃうから。戦争は批判すべきシステムの一部でしかないと私が感じてるからなのかもしれない。よく分からない。

*"hurt locker"に「棺」の意味があるとはどこかで読んだのだが、この映画のタイトルとして響いてこなかった。誰か説明して下さい、、、。
**レヴィ・ストロースが言ってたような。違ったらご免なさい。

「日本語が亡びるとき」を読んだ



日本語で読み書きするのが好きで、外国語(特に英語)でも読み書きをする人には、特にずっしり響く内容だと思う。

ぼんやりと考えてたことをビシっと説明してもらった時の気持ち良さが確かにあった。筆者は12歳でアメリカに移り住み、イエール大学・大学院でフランス文学を専攻してから日本近代文学を大学で教えているという人なので、私のぼんやりをいくら重ねても辿り着けない密度で深い絶望感を表している。徹頭徹尾、暗い。でもそれが日本語の現状であると。カバーのデザインも遊びゼロで息苦しいが、現状から目をそらすなと言われてるような感じすら。

言葉が通貨みたいなものだとしたら、日本語は弱い。何せ日本人しか使ってないし、インターネット上で情報を探すとその流通量の少なさに気づかざるをえない。出版される本となるとさらに顕著と思う。これは日本でも感じていたこと。(特に私がインターネットを使い始めた90年代後半は、英語と日本語の情報量の差は歴然としていた。)

それから私は英日の翻訳がけっこう好きだ。そして翻訳がすごく難しいことであることも身をもって知っている。これに関しては、アメリカに来てからその思いをさらに強くした。「失われるニュアンスがある」なんて甘いもんじゃない。何を美しいと思うか、何を大切と思うか、いわゆる価値観を共有していない人と芸術が共有できるだろうか。ある程度は、出来る。でもアメリカに来て違う文化の人々と生活する中で、私が思っていたその「ある程度」がかなり楽観的だったことを思い知った。*

tumblrで例えると全文reblogしたいが、そうもいかないので抜き出す。

たとえば、どうやってかれらが知ることができるでしょう。どのような文学が英語に翻訳されるかというとき、主題からいっても、言葉の使い方からいっても、英語に翻訳されやすいものが自然に選ばれてしまうということを。すなわち、英語の世界観を強化するようなものばかりが、知らず知らずのうちに英語に翻訳されてしまうということを。どうやってかれらは知ることができるでしょう。かくしてそこには永続する、円環構造をした、世界の解釈法ができてしまっているということを。そして、そのなかには、英語で理解しやすい異国趣味などというものまで入りこんでしまっているということを。どうやってかれらが知ることができるでしょう。この円環構造をした世界の解釈法が、あの名誉あるノーベル文学賞を可能にし、しかも、それによって、さらに強化されてしまっていることを。さらには、ノーベル文学賞とは「翻訳」に内在するすべての問題を、必然的に抑圧してしまっていることを。


ポゥ。そうですホント。話し言葉ですら毎日もどかしい。

それから筆者は、書き言葉としての日本語の特異性を説明していく。この部分は考えたことがなかったので、圧倒されるばかり。どんどん絶望が深く深くなっていく。

興味がある人はぜひ読んでみて欲しい。特に日本語の書き手。筆者の結論は、「せめて学校で日本の近代文学を読ませよ」。せめて興味を持った生徒だけでも日本の豊かな文学の図書館に自由にアクセスできるように、その基礎教育を提供していくべき、と。

反省した。漱石の作品ですらまともに全部読んでいない。そこは責任ある大人として通るべきとこだと思うので、読書ブーム到来をここに宣言する。あ、でもゆっくり楽しく。


*この辺の根本的な文化の違いについては、直前に読んだ「森林の思考・砂漠の思考」も面白かった。文明の成立した背景(気候の違いを中心に)から現代までの文化・文明の流れが説明されてて、かなり納得な内容だった。1978年出版。

Tuesday, March 16, 2010

アルモドバル監督新作"Broken Embraces"を見た 

邦題は「抱擁のかけら」。寒い寒いニューヨークで見た。久々に見るペドロ・アルモドバル監督の作品。以下は、映画のレビューではない。いかに私が映画レビューを書けないか、という内容になると思う。



かつて私はたくさん映画を見ていた。映画祭のスタッフだったこともあるし、配給に関するワークショップ(ニューシネマワークショップ)にも通った。アルモドバルといえば、映画祭で見た「バチ当たり修道院の最期」を思い出す。映画が好きだったが、数年前からめっきり見る本数が減った。

たぶん、人が作ったドラマよりずっとドラマチックなことが私の人生で起こっていたのも、映画を見なくなった理由だと思う。6年前に父が歩行中のひき逃げで亡くなった。母は癌の治療で入院中だった。弟は大学生だった。それから、私たちはみんな、控えめに言っても頭がおかしくなった。お金の問題も山ほどあった。父の死亡で振り込まれた自賠責の保険金は、ほとんどが母の株運用で失われた。腐るほどの醜い言い争いがあり、不眠があり、下痢があり、胃けいれんがあり、抗うつ剤があり、心理カウンセラーへの出費があった。それから4年後、母が亡くなった。徹底的にとっ散らかった数年であった。引きつったままでも笑うしかない。アルモドバル映画かよっ!みたいな日々。

父がある日突然この世から消えたのは笑えないコメディだった。心はたぶん凍るしかないはずだ。母が亡くなる前には、悲しみが常識も法律も思いやりも物理の法則も凌駕するねじ曲がった空間でもみくちゃにされた。まだ体中の骨が折れたままだと思う。ちょっと動くと痛いのだ。映画の中に、例えば緊急入院病棟の場面が出てくるとする。すると母が入院していた病棟の空気や、父の運ばれた集中治療室の明かりが画面に流れ込む。私は映画から飛び出してただ椅子に貼り付けられてしまう。凍り付く。呼吸が乱れる。全身が痛い。改めて思い知る。

映画中で起こっていることより、自分に最近起こったドラマにどう感想を持っていいかすら分からないのだ。怒りながら笑い泣きをしているのだ。ここ何年も。たいていの映画より面白い。投げかける問いは巨大だし、忘れられない名作だ。長編大作。だから映画を見たとしても、レビューは書けない。このドラマの前では、そこらの映画はかすんでしまい存在感は消える。

いつまで私は本当の映画を見られないのだろう? 時間は解決してくれないのかもしれない。私がせっかちなだけかもしれない。「何を見ても何かを思い出す」と書いたのはヘミングウェイだったか。

楽しい記憶を積み上げるしかないのか? 人の死より大きな思い出を作るしかないのか? そしたら自分の過去に邪魔されず映画を見られるのか?

。。。ここまで認識できるようになったなら、もうちょっと積極的な対応ができる気もする。良い記憶は、外の世界の面倒にも耐えてやっと作れるといったものだ。大変。アルモドバルは悲しみについても良く知っている。彼はこってりと悲しみを描く。登場人物を痛めつける。でも悲しみだけなら誰も見ないはずだ。彼は救いを描いてると思う。なぜなら単純に、自分が救いを信じたいから。そんな気がする。そこにちゃんと用意してくれてると思う。そろそろ、手を伸ばして相手の手を探してもいいかなと思う。

このBroken Embracesという映画は、端的には愛する人を失った男が主人公だ。それも唐突に、まったく脈絡なく愛する人が死ぬ。"Embrace"は抱擁、セックスなどを始めとした「受け入れ合う/取り囲む」状態を表す。"Broken Embraces"。壊れては再生する、人の関係、生命の不断の動き。どうがんばっても大きな流れにさらわれてしまう人間たち。諦める、受け入れるしかないこと。

そういう時期に来てるかなと思う。画面の向こう側に、作り手の優しさを探す。優しさが見つからなかったら、そこで描かれている何にも悲しくなる必要はないのだ。なぜならそれは私には何も語りかけてないから。そのレスポンスとして、自分も相手に手を伸ばせばいい。そしたら全く別の方向から、きっとその手を見つけてくれる人がいるはずだ。見えないけど強いその絆を、感じて守っていけばいいんだと思う。たぶん、そんな感じ。

Wednesday, March 10, 2010

過去のshows and stuff 2010

見たショー(見る予定だったショー)、映画のメモです。

Shows

2009年〜 Industrial Jazz Band, Depeche Mode
11月MMW、That one guy & Heatbox
12月Phish, MMW, the everybody orchestra
1/28/10 Al de Meola@VA
1/30/10 Charlie Hunter@Jamin Java, Vienna, VA
2/6/10 Galactic@9:30 club, DC(?)
2/7/10 @The stone, NYC(?)
2/8/10 Utada@Fillmore New York at Irving Plaza, NYC
2/8/10 Club d'elf @ The Local 269, NYC(?)
2/8/10 Konklete Jungle @ Pyramid club, NYC(?)
2/9/10 Trey Anastatio@9:30 club, DC(?)
2/9/10 Joe Maneri concert http://irondale.org/maneri.html w/ John Medeski, Matthew Shipp, Craig Taborn, Ed Schuller, Mike Rivard, etc
2/12/10 Unsound Festival@Public Assembly, Brooklyn, NY
2/13/10 Marco Benevento@Jamin Java, Vienna, VA
3/9/2010 Joe Henry@Wolf Trap Barns, Vienna, VA
3/9/2010 Mike Gordon@Rams Head, Baltimore, VA
5/21/2010 ADULTNAPPER w/ MIKE FISHER @ U street music hall
5/31/2010 Sunday Best @Bklyn Yard, Brooklyn, NY
5/31/2010 ? @ Cielo, NY
6/13/2010 Phish @ Hershey, PA
6/26/2010 Phish @ Merriwhether, MD
6/27/2010 Phish @ Merriwhether, MD


Movies
food, inc.
The Imaginarium of Dr Parnassus
Broken Embraces
hurt locker
synecdoche, New york
un prophet
the runaways
Phish 3D
8 1/2
touch of evil
good hair
(House of branching love)
(the secret in their eyes)
dans Paris
water lilies
(mango kiss)
Howl's moving castle

2/9 ジョー・マネリ追悼イベント

joe maneri concert clip from Sorane Susie on Vimeo.


気になっているお友達もいるかもしれないと思うので、詳しいレポートは書けないけどiPhoneで撮ったビデオだけ掲載。一部だけですがJohn Medeskiが参加してる場面。

何しろ途中で帰ってしまったのだ。以下はごく個人的な感想だけど、書いておく。

2月9日に「Joe Maneri Tribute concert」というイベントがブルックリンであった。会場はマンハッタンから地下鉄で10分程度、ブルックリンの住宅街にある古い体育館のようなホール。入場料は設定されてなく、寄付の目安として10ドルと書かれた箱に、無造作に紙幣が詰め込まれていた。

昨年亡くなったJoe Maneriというミュージシャンの追悼イベントだが、彼の事は実は私はよく知らない。このイベントに行ったのは、好きなミュージシャンが何人か出演するからだ。John Medeski、Mike Rivard、Matthew Shippなど。Joeのご子息Mat Maneriにも、2度の来日では踊らせてもらった。東京公演の際に話す機会があり、その底が見えなくて不安になるくらい優しい瞳が印象に残っている。

演奏されていた音楽やJoe Maneriの作っていた音楽について説明できるほどの知識は無いので割愛させて頂く。もし私が脈々と続く西洋音楽の歴史と、その最先端の現代音楽としてのジャズに詳しければ、挑戦することもできたかと思うが。(これからゆっくり音楽理論も勉強していきたいと思っている。)

楽器が並んだステージ部分の前に50席くらいだろうか折りたたみ椅子が並び、9割くらい埋まっていた。出演者らしき人が客席の後ろやステージ脇に2、3人。二階には壁沿いにステージを囲んで見下ろせる細いフロアがあり、その一角には小さなバーがあり、客が来るとPAを兼任するらしいバーテンがその横の卓から離れて飲み物を出すのであった。私はその対格の人のいないエリアでひとり座ってみていた。

こんな感じの構造。
ミュージシャンが2人~5人ずつ出てきて故人についての思い出思いを語り、それから「実験的」で「モダン」な作品を数分演奏する、というのが繰り返された。たくさんの音楽家。舞台に上がる人ほとんどが、家族としてもしくは生徒と先生という形で故人を知っていたようだ。なんとなく面白そうとぶらりやって来た私は場違いな気がした。いかに音楽的にも人間としても素晴らしい人物だったか、知らない人について慣れない場所で何の決められた役目もなくひとりじっと聴くのは不思議なものだ。途中で故人の奥さんのスピーチもあった。涙を拭いている人もちらほら。

故人を取り巻くドラマの登場人物が、階下にひしめいている。私は同じ空間にいるけど、そこに属してはいない。霊が存在したら、故人は私と同じようにボーッと見てるかもしれない。交わらない人生から溢れる感情を、上から眺めて。

Matの弟であるAbeも、父であり音楽の先生でもあった父について語る。亡き父といえば、私にもかつて亡き父を追悼するイベントに参加したことがある。そのために1泊で名古屋まで行った。父のかつてのバンドメンバーが主催し、かつてのファンや友達が集まった。そんなことを思い出していた。

音楽家の父の追悼イベントに出演する、というのを人生で体験する人は多くない気がする。いま自分が見下ろす空間から立ち上っている感情と、父が亡くなってから私が見てきた自分と他人の感情が、重なる。アブストラクトなジャズの中で私から飛び立った感情は、父の亡霊とさまようばかりでどこにも辿り着けない。深呼吸したい。

そんなワケで、1部と2部の間の休憩のときに会場を後にしてしまった。完全に傍観することも、身を委ね心を休めることも、解放してカタルシスを味わうこともできず。前夜にclub d'elfのショーで話す機会のあったMat Maneriと「また明日会いましょう」って言って別れたんだけど、彼の出番まで居られなかった。申し訳ない。

Tuesday, March 9, 2010

Shows and movies

見たショー(見る予定だったショー)、映画のメモです。

Shows

2009年〜 Industrial Jazz Band, Depeche Mode
11月MMW、That one guy & Heatbox
12月Phish, MMW, the everybody orchestra
1/28/10 Al de Meola@VA
1/30/10 Charlie Hunter@Jamin Java, Vienna, VA
2/6/10 Galactic@9:30 club, DC(?)
2/7/10 @The stone, NYC(?)
2/8/10 Utada@Fillmore New York at Irving Plaza, NYC
2/8/10 Club d'elf @ The Local 269, NYC(?)
2/8/10 Konklete Jungle @ Pyramid club, NYC(?)
2/9/10 Trey Anastatio@9:30 club, DC(?)
2/9/10 Joe Maneri concert http://irondale.org/maneri.html w/ John Medeski, Matthew Shipp, Craig Taborn, Ed Schuller, Mike Rivard, etc
2/12/10 Unsound Festival@Public Assembly, Brooklyn, NY
2/13/10 Marco Benevento@Jamin Java, Vienna, VA
3/9/2010 Joe Henry@Wolf Trap Barns, Vienna, VA
3/9/2010 Mike Gordon@Rams Head, Baltimore, VA

Movies
Food, inc.
The Imaginarium of Dr Parnassus
Broken Embraces
Hurt Locker
un prophet
Synecdoche, New York