Wednesday, March 10, 2010

2/9 ジョー・マネリ追悼イベント

joe maneri concert clip from Sorane Susie on Vimeo.


気になっているお友達もいるかもしれないと思うので、詳しいレポートは書けないけどiPhoneで撮ったビデオだけ掲載。一部だけですがJohn Medeskiが参加してる場面。

何しろ途中で帰ってしまったのだ。以下はごく個人的な感想だけど、書いておく。

2月9日に「Joe Maneri Tribute concert」というイベントがブルックリンであった。会場はマンハッタンから地下鉄で10分程度、ブルックリンの住宅街にある古い体育館のようなホール。入場料は設定されてなく、寄付の目安として10ドルと書かれた箱に、無造作に紙幣が詰め込まれていた。

昨年亡くなったJoe Maneriというミュージシャンの追悼イベントだが、彼の事は実は私はよく知らない。このイベントに行ったのは、好きなミュージシャンが何人か出演するからだ。John Medeski、Mike Rivard、Matthew Shippなど。Joeのご子息Mat Maneriにも、2度の来日では踊らせてもらった。東京公演の際に話す機会があり、その底が見えなくて不安になるくらい優しい瞳が印象に残っている。

演奏されていた音楽やJoe Maneriの作っていた音楽について説明できるほどの知識は無いので割愛させて頂く。もし私が脈々と続く西洋音楽の歴史と、その最先端の現代音楽としてのジャズに詳しければ、挑戦することもできたかと思うが。(これからゆっくり音楽理論も勉強していきたいと思っている。)

楽器が並んだステージ部分の前に50席くらいだろうか折りたたみ椅子が並び、9割くらい埋まっていた。出演者らしき人が客席の後ろやステージ脇に2、3人。二階には壁沿いにステージを囲んで見下ろせる細いフロアがあり、その一角には小さなバーがあり、客が来るとPAを兼任するらしいバーテンがその横の卓から離れて飲み物を出すのであった。私はその対格の人のいないエリアでひとり座ってみていた。

こんな感じの構造。
ミュージシャンが2人~5人ずつ出てきて故人についての思い出思いを語り、それから「実験的」で「モダン」な作品を数分演奏する、というのが繰り返された。たくさんの音楽家。舞台に上がる人ほとんどが、家族としてもしくは生徒と先生という形で故人を知っていたようだ。なんとなく面白そうとぶらりやって来た私は場違いな気がした。いかに音楽的にも人間としても素晴らしい人物だったか、知らない人について慣れない場所で何の決められた役目もなくひとりじっと聴くのは不思議なものだ。途中で故人の奥さんのスピーチもあった。涙を拭いている人もちらほら。

故人を取り巻くドラマの登場人物が、階下にひしめいている。私は同じ空間にいるけど、そこに属してはいない。霊が存在したら、故人は私と同じようにボーッと見てるかもしれない。交わらない人生から溢れる感情を、上から眺めて。

Matの弟であるAbeも、父であり音楽の先生でもあった父について語る。亡き父といえば、私にもかつて亡き父を追悼するイベントに参加したことがある。そのために1泊で名古屋まで行った。父のかつてのバンドメンバーが主催し、かつてのファンや友達が集まった。そんなことを思い出していた。

音楽家の父の追悼イベントに出演する、というのを人生で体験する人は多くない気がする。いま自分が見下ろす空間から立ち上っている感情と、父が亡くなってから私が見てきた自分と他人の感情が、重なる。アブストラクトなジャズの中で私から飛び立った感情は、父の亡霊とさまようばかりでどこにも辿り着けない。深呼吸したい。

そんなワケで、1部と2部の間の休憩のときに会場を後にしてしまった。完全に傍観することも、身を委ね心を休めることも、解放してカタルシスを味わうこともできず。前夜にclub d'elfのショーで話す機会のあったMat Maneriと「また明日会いましょう」って言って別れたんだけど、彼の出番まで居られなかった。申し訳ない。

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