Tuesday, October 27, 2009

どこで歌を練習するか

2ヶ月くらい前から、音楽学校で歌を習い始めた。これまでずっと私は聴く側の人間だと思い込んで来た。パフォーマーとオーディエンスには超えがたい壁があって、私はオーディエンス側であると。

実際の問題として成人した現代の日本人には、酔っぱらってカラオケに行く時くらいしか歌う機会がない。私には女性ボーカルの曲は決まってキーが高過ぎ、サビが歌えない。キーを下げたら低い音が出ない。声に張りも無くて寂しい。それでいつしか自分は救いようも無く歌が下手と思い込むのも無理は無い。

しかし生きて行くと色々学び、賢くもなるようで、ある日私は重要なことに気づいた。プロの歌手が皆最初からうまかったなんてあり得るか? 私にも上達の可能性はあるはず。当たり前だが、どれくらい上達するかは試してみないと分からない。

まず最初に東京の音楽スクールのボーカル科に、お試しレッスンを受けに行った。そしたら、私の声は特に低いというわけではない、と言われた。驚いた。思い込み the 我々の敵。

そういうわけで、今はワシントンDCの音楽学校で週に1度のグループレッスンで歌を習っている。歌は体を楽器にして音楽を奏でるわけで、まずは体を作らないといけない。スポーツと同じ。それから、体をどう使うか。歌い方についてお知識を詰め込んで、思った通りに体が反応して素敵な音が出てくるわけじゃない。週に1度先生から練習法や考え方、コツなんかを教えてもらうわけだけど、うまくなるかどうかは練習にかかっている。

練習といっても、どうやったらどういう声が出るか、どうしたら出したい声が出せるかを探るのが主だ。スキャットのような曲を使ったり、方法はいろいろだが、基本的にはいろいろ奇声をあげまくって、感覚を掴んで行くしかないような気がする。(喉を痛めぬように気をつけつつ。)

しかし我が家はアパートで、両側には別の住人もいるし、気兼ねなく大声を出せるわけもない。歌の練習ってのは、鼻歌の20倍くらいうるさい。車を持っているので、運転中には大声で歌えるが、正しい姿勢は立った状態である。東京ならカラオケボックスがたくさんあるから、ひとりで行って練習できるのに。

この辺は家の近くに鹿の死体が転がっているような人口密度の低さなのに、心置きなく奇声を上げられる場所はない。東京の皆さんで歌が上手くなりたい人は、会社帰りに30分でもカラオケボックスに寄ったら良いと思う。歌を歌うんじゃなくて、いろいろ奇声を上げてみたり、姿勢を変えてみたりして、音を響かせてみたり、楽器である体を色んな風に使ってみる。

結論としては、カラオケボックスのある東京が羨ましい、というだけの話です。あと、ほろ酔いで友達とカラオケに行きたいです。

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