Saturday, January 16, 2010

Michael Pollan on Daily Show with Jon Stewart!

ジャーナリストのマイケル・ポーランをご存知だろうか? 食べ物に関する本を2、3冊書いてて、私は去年あたりChika Watanabeさんがブログに紹介していた「Omnivore's dilemma」という本で知った。→

この本は買って前書きだけ読んで、すっかり読み終わった気になって良い本だと思っていた(そういうことはよくある)のだが、ちょうど最近見たドキュメンタリー映画「Food, Inc.」にもポーラン氏が出演していて、あの本そういえば読みかけだなぁと思い出した。

日本でも翻訳が出たみたいです。「雑食動物のジレンマ」という色気のないしかし原題の意味に忠実なタイトルで。アマゾンのページへのリンク

そして最近、ケーブルテレビ局コメディ・セントラルで毎日夜9時からやってる番組「Daily Show」にポーラン氏がゲスト出演してインタビューを受けているのを見た。この番組はコメディなんだけど、ニュース番組の体裁を取っているのでホストもスーツを着てニュースキャスター風。今話題のニュースを辛辣で下らない笑いに包んでネタにする他、政治家やジャーナリストなどをゲストに迎えある意味で正反対の意地悪な視点から突っ込みを入れることで論点を明らかにするという人気番組。そう、ぱっと見は真面目な顔をした大胆な茶番劇なのです。

映像はこちら;
大きい画面で見たい人はここをクリックして、番組のサイトへ。
The Daily Show With Jon StewartMon - Thurs 11p / 10c
Michael Pollan
www.thedailyshow.com

Daily Show
Full Episodes
Political HumorHealth Care Crisis


内容をまとめるとこんな感じ。

食と健康に関する情報が錯綜する昨今、何をどう食べたら良いのかについて混乱している消費者に対して分かりやすいアドバイスを63の短いルールにまとめた「Food Rules」という本を出版したばかりのポーラン氏によると、正しい食品選びをひと言で表すなら「食べ物を食べなさい。『食べ物のような物質』は避けるべし。」

ホストのジョン・スチュワート氏は、タバコ会社が喫煙の健康被害に対して社会的責任を負うことになった近年の流れを例に取り質問する。タバコ会社は健康被害を知った上で販売を続けていた、という事実が明らかになったのがタバコ論争のターニングポイントだったが、食品業界でも同じことが起こるだろうか?と。

(そらね注:これは、肥満や癌などの病気や慢性病も喫煙と同じように、原因と考えられうる食品を販売した食品会社やファーストフードチェーンに責任があるのではないか、という論争が背景にある。)

ポーランは答える。タバコが人間にとって無くても良い嗜好品である一方で、食べ物は必需品。そこが大きな違い。そしてこれは仮説だが、多くの食品会社は食品科学を使い消費者を引きつける(中毒性のある)レシピをはじき出してきたが、その文書は恐らくとっくの昔に破棄されてるはずだ。(例えば大手食品クラフト社はフィリップ・モリスの傘下。同じ弁護士が関わっているだろうことから考えてもそれが当然。)現代の食品会社は高度に発達した食品科学を駆使して消費者の味覚を操作してたくさん食べさせようとしている、というと何かの陰謀っぽく聞こえるけど、それは基本的には子供に料理を食べさせようと美味しい夕食を作る母親がしてるのと同じこと。その線引きは難しい。

スチュワートは質問する。安い食べ物を作ることで、所得の少ない人の食生活を助けていることは評価にあたいするのではないか?と。安い食べ物の恩恵はもちろん貧困層のみならず我々みんなが受けている。でも、安く買える食べ物の本当のコストは、健康被害や環境破壊という形で生じている。それは結局のところ公共の医療システム/保険から払われるのだから、安い食べ物を手に入れるツケはそういう形で自分たちが負うことになる。ということはつまり、医療保険システムに関する新しい法案が通れば、保険会社も慢性病などについて方針を変えることになり、突如として保険会社が、今は無関心だが加入者の健康について興味を持ち始めるかもしれない。 ("suddenly the health insurers will have an interest in your health, which they don't have now.")ウェスタン・ダイエット(加工食品と肉を多く摂取する今のアメリカで一般的な食生活)は多くの慢性病を引き起こしてきたため、食品会社と医療業界は協力関係にあるが、大きな業界であるからゆえ、変わり始めたら大きな動きになるだろう。

でもどうやって?とスチュワート。現状ではエネルギー効率の良い食品(加工された糖類など)が推奨される結果になっているわけだが、もっと野菜や果物などの本当の食べ物を食べるように消費者と食品業界を指導することに税金を使うことも有効だろう。教育を通じて、糖分の多い炭酸飲料水の摂取を減らし摂取を増やすように呼びかけることも出来る。

それが実現されたとしたら、政府が家庭の台所までしゃしゃり出てくるなんてかつてない大規模な生活指導だよね?とスチュワート。ポーランはそれを認めるが、政府に食べ物の指導をされるのは嫌なのに、医者から「あなたはこの慢性病の薬を一生飲まないといけません」って言われると「はいそうですか」と聞いてしまうのは面白い、と指摘する。


要約するはずが割とがっつり訳してしまった。面白いので良しとしよう。いやーアメリカに住んでる健康志向の(&残念ながら消化器を中心にあまり体が頑丈ではない)私からすると、ポーラン氏がテーマにしてることは正に日々の死活問題! というわけで早速この新作「Food Rules」も買って読んでいます。(米アマゾンで5ドルでした。日アマゾンへのリンク。)私が言いたかったことが全部書いてある! 出来ることならたくさん買ってバラまきたいくらいだ。読み終わったらこれもレポートします。

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